Logical Approach
論理学的アプローチ (福田)
分散システムでは各コンピュータは並列に動作し互いに
通信を行います。このため一つのコンピュータのための
プログラムが正しいだけでは不十分で、他のコンピュータの
プログラムについても考慮する必要があります。
また、コンピュータは互いに通信するため通信のタイミングも
重要になります。例えば、通信相手同士が互いに相手からの
情報を待っていたら、両者は永遠に待ち続けてしまいます。
このように分散アルゴリズムの設計は通常のアルゴリズムと
比較して格段に難しいものなのです。
われわれは論理学の枠組みを使って、分散計算のための
アルゴリズムの正しさを事前に証明する方法を作ろうと
しています。ただし、普通の論理学では並列性や通信と
いった分散計算の特有の特性が十分に表現できません。
そこで、線形論理と呼ばれる新しい論理体系をもとにして、
分散システムの並列性や通信などが容易に表現できる
まったく新しい理論体系を構築し、現在、これを用いて
分散アルゴリズムの設計や解析を行っています。