アプリケーション内メモリ管理のためのOS支援

Operating Systems Support for Application-Level Memory Management

Author:

伊藤 純一郎、所 真理雄

Conference:

日本ソフトウェア科学会 第9回オブジェクト指向計算ワークショップ(WOOC'93) ハンドアウト

Abstract:

近年、オブジェクト指向言語に代表される 抽象度の高い言語が広く利用されるようになってきた。 これらの言語の処理系では、 メモリ管理のためにガベージコレクション(GC)などが用いられるため、 メモリ管理機構が非常に複雑になっている。 このため、処理系のうちメモリ管理部を実装するための労力が非常に大きくなっている。 また、GCの際にページフォルトが多発するという問題が指摘されてきたが、 これまでの構成法では解決が困難であった。

本研究ではアプリケーション内部のメモリ管理機構を OS側で提供することを考えている。 これにより、処理系実装にかかる労力を軽減し、 ページフォルト回数の削減などのきめの細かい効率化をすることが可能になる。

本稿では、OSがアプリケーション内メモリ管理を支援する際の問題点を挙げ、 その解決方法を述べる。 さらに、OS支援の機構を利用して効率化を図るための手法のひとつとして、 GC中のページフォルトの回数を削減するための具体的な方法を示す。 この手法では、2次記憶上にあるメモリページにアクセスしないことで ページフォルトを回避する。 ページフォルト回数削減の効果については シミュレーションを行うことで確認し、その評価を示す。

本研究で提案する実装方法を採用することにより、 言語処理系を開発する際の実装コストを下げ、 メモリ利用の効率化を図ることができる。


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